昨今、「ジャーナリング(書く瞑想)」が静かなブームを呼んでいる。単なる思考整理術や手帳術にとどまらず、心を整えるセルフケアとして注目されているのだ。

書くことで自分と向き合う「内省」の歴史は古い。その最も著名な実践者の1人が、およそ2000年前のローマ皇帝マルクス・アウレリウスだろう。彼が書き綴った「自省録」は、皇帝という重圧や裏切りなどの様々な困難による苦しみに対し、ストア派の哲学を書き綴ることで、自らを律し、理性によって心の平静を保つためのものだった。当時、ジャーナリングや書く瞑想という言葉は存在しなかったが、これは現代でいうジャーナリングである。自分の思考を文字にして可視化し、読み返すことで客観視することのできるジャーナリングは、自分を見つめ、心を整える内省なのだ。

私たちはマルクス・アウレリウスのように歴史に関わる重要な決断をしたり、一国の運命を背負った選択を迫られることはないかもしれないが、それでも生活を送る上で様々な困難に直面し、悩むことはあるだろう。そんな時、ひとり静かにペンを取り、ノートを開いて自分と向き合い、自分の気持ちや思考をジャーナリングによって書き出し、内省することは、心を整え、悩みやストレスを軽減させることに繋がる。

昨今、ジャーナリングと呼ばれているものには、様々な技法がある。書く瞑想と呼ばれるジャーナリングはエクスプレッシブ・ライティングやフリーライティング、マインドフルネス・ジャーナリング、認知行動療法のコラム法など様々な技法の要素をブレンドしたもので、教える人によってブレンドの調合率は異なる。私が伝えている書く瞑想もハイブリッドである。ここでは私の伝えている書く瞑想の技法を説明したい。

まず、ノートとペンを用意する。頭に浮かんできた思考をひたすらノートに書き出していく。この際、ペンを走らせる手を止めないようにする。もし、何も浮かんでこなければ、「何も浮かばない」という意味のことを書き出して、ペンを走らせる手を止めないようにする。浮かんできた思考はありのままに書き出す。たとえば、「アウレリウスもジャーナリングを行っていたのか」と浮かんだら、「アウレリウスもジャーナリングを行っていたのか」と書き出す。数分の間、書き続ける。タイマーで測るのもよいだろう。最初のうちは4〜5分くらいにしてみるといいかもしれない。書き出したら読み返す。読み返すことで、自分の思考を客観的に見ることができる。こうして内省することができる。

アウレリウスの「自省録」はこちら。